ご挨拶
薬剤部
段林 正明
近畿救急薬剤師検討会のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
近年の診療報酬改定や日本臨床救急医学会により救急認定薬剤師制度が設立されたことを背景に、救命救急センターや集中治療室において薬剤師が業務を展開する施設が増加しています。しかしながら、救急領域における薬剤師業務は発展途上であり標準化されておらず、各薬剤師が個別に試行錯誤の中で業務を行っているのが現状です。
そこで、初代代表世話人の奈良県立医科大学医学部附属病院の松井 俊典先生を発起人とし近畿圏の救急認定薬剤師を中心に2016年5月に近畿救急薬剤師検討会を設立しました。現在、私が第2代目の代表世話人として救急領域における薬物治療に関する教育及び啓発を行い、救急医療に貢献できる薬剤師の養成を目的に活動を続けています。
当検討会では、救急医療に興味のあるすべての薬剤師を対象に近畿救急ファーマシューティカルラリーを開催しています。参加者は3名1組で薬剤師の介入が期待される状況を想定した数種類のシナリオに挑戦し、取り組んでいる過程や薬学的管理を運営側が採点し得点を競うメディカルラリーを薬剤師向けに改編した内容で進めています。2019年9月までに近畿各地で計11回ラリーを開催し、194名の薬剤師にご参加いただいています。また、2018年8月には東海地区の救急認定薬剤師にご協力いただき愛知医科大学で、2019年9月には中国地区の救急認定薬剤師にご協力いただき岡山大学でラリーを開催させていただきました。救急領域における薬剤師業務の学習手段として導入したラリーはアンケート調査においても概ね好評であり、現場で直面する可能性の高い課題に対する考え方や薬学的管理について学ぶことができ、救急医療に関連する薬学的知識や技能の向上を期待しています。また、ラリーではインストラクター制度を導入しており、希望する参加者はラリーを受講後に一定の条件を満たした後にインストラクターとして登録され、シナリオ作成や指導を通じて継続して学習できる体制を整備しています。
また、2018年5月には救急領域でご活躍されている医師を演者に迎え座学講演会を開催し80名の薬剤師にご参加いただきました。今後は、近畿圏外においても開催に意欲的な地域があれば協力するなどラリーを広く展開するだけでなく座学講演会の開催などより魅力的な企画を発信し、救急領域における薬剤師業務を近畿から盛り上げていきたいと考えています。
近畿救急薬剤師検討会では、参加いただくすべての皆様とともに救急領域における薬剤師のさらなる活躍の推進を目指しています。救急認定薬剤師を目指す方だけでなく、救急医療に興味を有していたり、今後関わりたいと考えている皆様のご参加をお待ちしています。
神戸大学医学部附属病院
薬剤部
段林 正明